特別編2回目

テレワークの環境整備 ~新常態(ニューノーマル)に向けて~

(公財)横浜企業経営支援財団 IT・IoT技術アドバイザー/ものづくりコーディネーター
山崎 隆

2020/6/25

新型コロナウイルス禍で多くの人が職場から離れてテレワークを実施せざるを得なくなりました。

2020年4月14日から17日にかけて経団連が会員企業に調査したところ、テレワークや在宅勤務を実施している企業は実に97.8%に上ったとのことです。
その動きが急だったこともあり、社内の体制が整備しきれずに、手探りでテレワークを始められた企業も多いことかと推察しています。
そこで、今回のコラムでは、テレワークの環境整備について、「制度」と「仕組み」の観点で見ていきたいと思います。

1.テレワーク勤務制度の確立

テレワークを実施する時も、労働基準法に遵守する必要があり、常時10人以上の従業員を使用する使用者は、就業規則または労使協定を所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。新たにテレワーク勤務体制を取る場合は、勤務規程項目として次の5つを明示する必要があります。

  1. ① 労働条件
    就業場所を規定します。従業員の自宅、モバイルワーク、サテライトオフィス等どこで仕事を行うか明示します。
  2. ② 労働時間の管理
    労働時間の把握に関しては、通常の労働時間制に加え、変形労働時間制、フレックスタイム制、事業場外みなし労働時間制、裁量労働制があり各々管理方法が異なります。また、新制度適用にあたっては従業員との労使協定を結ぶ必要があります。
  3. ③ 業績評価・人事管理
    テレワークでは「就労時間」より「成果」に重きを置いた評価に移行していくものと考えます。
    付加価値に基づく目標管理が求められ、アウトプットからアウトカムへ、プロフェッショナルとしての成果を評価することが今後求められていくものと判断しています。
  4. ④ 通信費・情報通信機器等の費用負担
    テレワークのネットワーク環境や、パソコンやスマホ等の情報通信機器の借り受けや貸与の詳細を規定します。BYOD (Bring Your Own Device)という従業員の私物の情報端末を業務に活用する方法もあり、コスト面では削減効果はありますが、情報漏洩やセキュリティでの対策を事前によく検討する必要があります。
  5. ⑤ 社内教育の取り扱い
    社内教育や研修制度に関する定めを規定します。

2.テレワークの仕組みの構築

テレワークでは、ネットワーク会議やグループワークのためのコラボレーションウェアがまず必要になりますが、その上でどの業務領域に対してテレワークで対応し、その際にはどのようなツールを導入するかをよく検討する必要があります。例えば、営業支援をするSFA(Sales Force Automation)やバックオフィスをサポートする勤怠管理、人事管理、労務管理、経理業務、さらにサプライチェーンを支える受発注管理や物流管理、生産管理や製造管理、研究・開発など、様々な業務領域があり、遠隔管理の難易度は順を追って高くなります。各業務をどこまで遠隔で行えるようにするか、いわゆるワークプレイス全体を可視化し、どこまでをデジタル化するか社内の仕組みを見直すことが大切だと考えています。

データに関しても、現在、テレワークの阻害要因として紙の伝票や書類の多さ、捺印の問題等が上がっており、デジタル化を促進していくことが求められます。その際データを、社内のサーバー(オンプレミス)にて管理するか、クラウド上で管理するかを整理するとよいでしょう。今後は、パブリッククラウドやオンプレミスのデータを一元管理できるハイブリッドクラウドの技術も進んでくるので、すべての社内データをクラウドに上げる必要はなく、機密データはオンプレミスで管理することも実際的かと考えます。

ネットワーク環境もセキュリティの観点でVPN(Virtual Private Networkの略で、インターネットに接続している利用者の間に、仮想的な通信トンネルを構成したプライベートなネットワークのこと)を設定されたりしていますが、多数の社員が一斉に接続することによって「VPN渋滞」が起こるという悩みも聞かれています。今後はセキュリティを担保しつつ、どのデバイスからもどのデータにもアクセスできるような「ゼロトラスト」ネットワークのアーキテクチャが広まってくるものと考えます。

一方、セキュリティに関してより慎重な対応も求められます。ホンダは2020年6月9日、社内ネットワークで8日午前から大規模なシステム障害が発生したことを明らかにしています。一時的に工場の稼働が停止したり、本社などのオフィス勤務者や在宅勤務者が、パソコンからファイルサーバーやメールサーバーなどの社内システムに接続できなくなる障害が発生しました。身代金要求のランサムウェアの被害に遭ったのではとの見方が浮上しています。いずれにしろ、社内の業務システムやサプライチェーンに対して外部からつなげることでサイバー攻撃を受けるリスクが高まっており、一層のセキュリティ強化が求められます。

今後のウィズコロナ、アフターコロナでは、新しい働き方が求められ、もはや3カ月前とは異なる新常態(ニューノーマル)になると言われています。これを機にぜひ前向きなIT/デジタル化の検討をお考えいただければと思います。

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