~翻訳、通訳なしのコミュニケーションがすぐそこまで来ている~

第3回:AI自動翻訳を活用したグローバルビジネス展開

(公財)横浜企業経営支援財団 IT・IoT技術アドバイザー/ものづくりコーディネーター
山崎 隆

2020/12/23

1.はじめに

中堅、中小企業においても、アジア、欧米とのグローバルコミュニケーションの必要性が増大しています。コロナ感染拡大前には下請けの仕事だけでよかった企業も、これからは自社の独自性を国内外に発信し、サプライチェーンにおいてもグローバル化が必要になってきています。そこで問題となるのは言葉の問題です。日本語の資料や事業紹介を翻訳してもらい、会話においても通訳に入ってもらうやり方ではなかなか大変で、実際的ではない場面も多いことかと思います。今回のコラムではそれを解決するAI自動翻訳のソリューションについて触れてみたいと思います。

2.汎用の翻訳機能を「Google翻訳」で見てみましょう。

Google翻訳を使ってみた方は多いと思います。[1]テキストはもちろん、Microsoftのエクセル、ワード、パワーポイントあるいはPDFなどの文書が、実に113か国語間で翻訳出来てしまいます。さらにあまり知られておりませんが、URLを入力するとサイトを丸ごと翻訳することもできます。ただし汎用の翻訳機能であることから独自の辞書を持ったり、カスタマイズすることができないため、本当に粗々な翻訳しかできません。仕事で使えるレベルではありませんが、翻訳の際の参考程度にはなるかと感じます。音声の翻訳機能もあり海外メディアを理解する時などにも役立ちそうです。

3.音声入力による翻訳機能を「Chrome」のテロップで見てみましょう。

メディアアーティストの落合陽一先生の研究室から出されている、Google音声文字変換アプリをビデオスイッチャーに重ねた「Chrome」のテロップ機能[2]を、ぜひ試していただければと思います。自分のしゃべった内容が各国語のテロップとして映し出されて、とても興味深いです。聴覚障がい者向けの開発が発端とのことですが、音声入力による翻訳がここまで来たかと感じ取ることが出来ます。

4. ZOOM会議の通訳機能や字幕機能について

ZOOMでは、ビジネス、エデュケーションまたはエンタープライズ・アカウント向けに実際の通訳者による同時通訳機能を提供しています。[3]いわゆるZOOM会議の中にバーチャル通訳ブースを設け、実際の通訳者に入ってもらうもので、現在、9言語に対応しているそうです。また、一方、ZOOMに音声認識で字幕を付け、それを自動翻訳させる技も流行っているようです。ZOOMにはクローズドキャプションというテロップを入れる機能があり外部連係もできることからUDトークなどのアプリと連携させることにより翻訳されたテロップを入れるデモをよく目にしています。[4]

5. 本格的なビジネスに使えるAI自動翻訳

さて、ここまで一般的な汎用翻訳機能を見てきましたが、Google翻訳などでは汎用性・網羅性を重視するあまり各国語・各分野の独特なニーズには応えられずビジネスで使いきれるだけの品質は得られていません。日本では、情報通信研究機構(NICT)が日本語の特徴をよく捉えた自動翻訳エンジンの研究開発を長年進めてきており高い精度を得ていると聞きました。こうしたAI自動翻訳のプラットフォームは、大手企業からも複数提供されており実用化が進んでいます。そんな中、最近、ある横浜企業から、本格的なビジネスに使えるAI自動翻訳クラウドサービスの説明を受けましたので紹介いたします。[5]日本語、中国語、英語の翻訳を高精度のAIエンジンと多層防御の高度なセキュリティクラウドを用いて行います。一見、第2章で紹介したグーグル翻訳に似た操作感覚です。テキスト翻訳に加えファイル翻訳、ウェブ翻訳ができることは同様ですが、ユーザー辞書やドメイン辞書(利用分野に応じた専門用語の辞書)を搭載したことにより、ビジネス文書、約定文書としてもほぼ使用できるものとなっています。日本語の常体と敬体(ですます調)の選択や項番構成機能(段落番号の統一)も有します。中国語の読み方を表す発音記号を付与したり、漢字にルビをふり、母国語でない人でも文章を読みやすくすることもできます。さらに翻訳がどの程度正しくなされたかを確認するために、日本語⇒中国語⇒日本語などの変換も行えるそうです。将来は動画音声翻訳、翻訳結果文の音声再生、音声入力による翻訳へも拡張されるとのこと。AIを用いていますので、その他の言語サポートも容易とのことでした。
こうしたサービスを使えば、低コストで、ほぼリアルタイムで本格的な文書が作成できるようになると思われました。

6. 将来に向けて

以上、自動翻訳について見てまいりました。近い将来、アジア、欧米、日本人が同じ資料を別々の母国語で理解し、オンライン会議で異なる言語で会話し合いビジネスを展開する時代が来るものと考えます。

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