新しいデジタルサイネージ、「リアル」と「バーチャル」の映像を融合する透明ディスプレイ

第2回:ディジタルサイネージ

(公財)横浜企業経営支援財団 ものづくり・医工連携コーディネーター
山本 亮一

2020/7/28

1.「背面が透けて見える?」ディスプレイ~マイクロLEDディスプレイ

ニューノーマルでコミュニケーションの方法が激変しています。ディスプレイの技術開発の方向性やデジタルサイネージの有り方も変わってくるかもしれません。今、普段は後ろが透けて見えていて、突然空中に映像が現れ、リアルな背景とバーチャルな映像を融合して見せる、というまるでSF映画のような透明ディスプレイの本命技術の実用化が、いよいよ迫ってきています。今回はそんな新技術、マイクロLEDディスプレイのお話です。

2.マイクロLEDディスプレイとは?

LEDといえば、今や至る所で照明として使われています。マイクロLEDディスプレイは、そのLEDチップを、一辺が50µmから100 µm以下、およそ髪の毛の太さと同じサイズにまで小さくして、一つの画素を形作っているものです。似たような技術に有機ELディスプレイ(OLED)が有りますが、ここでいうマイクロLEDディスプレイは、「有機」では無く「無機」の材料を使っているものです。その為、⾼輝度、⾼視認性、⾼効率、低電⼒消費、⻑寿命などの特⻑を有します。先ほどの通り、LEDチップが非常に小さいので、その配置によって、LEDが点灯していない時にはほぼ後ろが透けて見える「透明」なディスプレイになるわけです。

3.マイクロLEDディスプレイと産学連携と中小企業

この技術の開発は、韓国、台湾や中国が先行しています。5月には、アップルが台湾でエピスターなどと製造工場を建てるとの報道が有りました。日本勢では、ソニー、京セラ、JDI、シャープなどが、開発を進めています。大学や国研としては、上智大学、産総研、豊橋技科大などが開発を進めています。

このマイクロLEDディスプレイで使われているLEDチップは、先ほどの通り、従来のものに比べてサイズが数分の一から一桁以上が小さいため、これまで使われていた汎用の生産技術の多くが、適用できなくなります。という事で、製造、実装、組立、検査などの生産技術の多くはまだ発展途上で、業界地図が大きく変わるやもしれません。この様な生産設備の開発を主力として中小企業には、産学連携や産産連携などで、新しい事業機会が生まれてくると思います。

4.おわりに

ここまでの話で、「これ、AR、VRに使うと良いよね!」とすぐにイメージされると思います。まさしくその通り!今回は、主にはハード側からの話でしたが、次は、ソフト面のAR、VRの話へとつづきます。

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