ロボットを介し、時空を超えて社会とつながる(社会的存在感)

第6回:アバターロボット

(公財)横浜企業経営支援財団 ものづくり・医工連携コーディネーター
山本 亮一

2021/03/24

1.はじめに

ロボットと言えば、産業用ロボットは広く普及していますが、個人向けには、ドラえもんの様なSFやマンガに登場する様なものは、まだまだと思います。とはいえ、昨今の5GやAR/VRなどの基盤技術の進歩を背景に、新しいロボットが誕生してきています。少し古い資料ですが、2019年7月経産省「ロボットによる社会変革推進会議報告書」[1]では、「ロボットを介して社会とのつながりを創出する新たな取組が生まれつつある」として、アバターロボットの類が紹介されていました。今回は、その新しい潮流、アバターロボットについてご紹介致します。

2.企業での取り組み事例

参考資料1では、JALと(株)インディ・アソシエイツによる「JET」[2]、NTT東日本と(株)オリィ研究所による「OriHime」[3]の実証事例が取り上げられています。「OriHime」は、当地神奈川県でも障がい者就労支援の試行が行われています[4]。また直近では、川崎市の(株)Re-alによる渓流釣り体験イベントが、東京都庁で行われるとの新聞報道がありました[5]。
ロボットを通じた社会とのつながり「社会的存在感」という視点でみると、参考資料2,3の事例は、ロボットを操作しているヒトが、ロボットの先の世界に感情まで伝えようとするケースです。参考資料5の事例は、逆に、ヒトがロボットの先の世界を体験して幸福感を得る、というケースです。いずれも存在感の「感」の伝達がコアになっています。

3.大学の研究開発

この分野の大学に於ける研究としては、まずは東大の舘先生[6]に言及せざるを得ません。アバターロボットの原点、テレイグジスタンス(遠隔存在)の提唱者です。アカデミックな研究のみならず、Telexistence(株)を設立され、アバターロボットを次々と商品化されています。
このコラムをご覧の皆様が産学連携を検討される為の情報という意味で、当地に近い大学として、早稲田大学には、松居辰則教授[7]や、岩田浩康教授[8]の研究室が有ります。また、慶應義塾大学では、三田彰教授[9]の研究室などがあります。大学に於ける研究でも、「感」に着目した研究が展開されています。例えば、松居先生は、ヒトがロボットに感じるいわゆる「不気味の谷」の研究をやられています。この様な研究成果をロボットなどのハードに実装する時には、中小ものづくり企業の出番が有るのではないかと思っています。

4.おわりに

このコロナ禍により、非接触やリモートというキーワードが脚光を浴びています。アバターロボットは、まさにこの流れに乗って、次々とベンチャーが生まれるなど、市場が立ち上がろうとしています。日経PB社テクノロジー・ロードマップ 2021-2030では、2025年にworldwideで 200億米ドル、国内700億円の市場規模が予想されています[10]。新たなビジネスチャンスとして注目されます。

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