第4回:IoTのデータ活用

(公財)横浜企業経営支援財団 IoT窓口相談員
後藤 昌治

2018/12/28

 IoTにより収集・蓄積したデータを分析し、得られた結果を用いて、改善や付加価値の創出につなげていく。これこそが、IoT活用の目的です。

 今回は、IoTを「活用する」ために必要な、データ分析と活用事例について紹介します。

データ分析

 データ分析の手法は、大きく統計手法と機械学習に分類されます。統計手法は、収集したデータから平均値を求めたり、グラフなどを作成したりして、そのデータの傾向や特徴を数量的に把握する手法で、従来から広く活用されています。

 一方、機械学習は、収集したデータをコンピュータで解析して、データに潜むパターンまたはルールを学習する手法です。機械(コンピュータ)によりデータの傾向や特徴が導き出される点が、統計手法との違いです。機械学習が対象とする課題は「教師あり学習」と「教師なし学習」に分けられます。

 教師あり学習は、入力と出力がセットになったデータを元に学習した結果をもとに、未知のデータがどんなパターンになるのかを識別・予測するものです。たとえば「入力された画像がどんな形状かを識別したい」「温度・湿度等の条件から電力消費量を予測したい」といった例が挙げられます。

 教師あり学習は、学習で用いるデータに出力がありません。データそのものが持つ構造や特徴を把握することが学習の目的です。たとえば「入力データの項目間にある関係性を把握したい」「顧客の購買データから、どういった顧客層があるのかを把握したい」といったような場合に利用されます。

データ活用の事例

 ものづくり分野においては、不良品検出や検品、機械の予防保全や故障予兆の検知などでの活用事例があります。人が持つ能力・感覚に頼っていた判断を、データに基づいた識別・予測を行うことで、作業員の負荷の低減や作業員の熟練度に依存しない安定した生産が実現できます。

 商業分野においては、商品の画像認識による料金の自動計算、来店者の属性や行動の収集・解析による商品構成やディスプレイの最適化などで活用されている例があります。

 タクシーの需要予測にも応用されています。過去のタクシーの運行データ、リアルタイム人口統計データ、気象データなどを活用し、需要がある場所や時間帯を予測するものです。

 その他、物流の現場では、取り扱う商品や荷物の判別を効率的に行うことを目指し、さまざまな取り組みが実施されています。また、介護分野においては、熟練の介護者の能力を介護初心者にコーチングする取り組みなども始まっています。

 データ活用は、上記の事例に留まるものでなく、さまざまな領域での応用が考えられるものであり、今後の展開が期待されます。

ContactIoT導入活用に関するご相談、
全般的なお問い合わせはこちらから。