第6回:IT活用はじめの一歩 〜 紙帳票のデジタル化

(公財)横浜企業経営支援財団 IoT窓口相談員
後藤 昌治

2019/4/25

 これまで、IoT導入と活用の取り組みのポイントをお伝えしてきましたが、いまひとつピンと来ない、実感が湧かないという話があります。そこで、今年度は現場の実例をもとにしたリアルな話を中心にお伝えしたいと思います。

紙帳票で困っている現場

 A社は、創業50年の金属加工を得意とする会社で、これまで積極的に現場改善に取り組み、高品質・短納期・低コストを実現したことで、お客様から信頼を得ています。そのA社から最近「現場の紙帳票」の改善について相談を受けました。

 A社では、生産やトラブルの記録、設備点検シート、作業日報など、ほとんどが紙帳票に手書きで記入している状況です。記録されたデータは、必要な項目のみシステムやExcelに入力して管理しています。また、保管が必要な帳票は紙のままか、必要に応じてOCRで電子化しているのが現状です。

 生産が忙しいときなど、データ入力作業を残業で対応することが多くあります。また、OCR化は月に数回実施していますが、溜まった紙をひたすらスキャナーで読み取り、ファイルを決められたフォルダーに保管する作業であり、相当な労力がかかっています。

 このように、苦労して電子化したデータですが、日常的に活用されることはほとんどなく、いざというときに確認したり、思い立ったときに取り出して使ったりしている程度です。トラブルの対応も、そのときその場で対処すれば解決が容易なことも、事後確認では後の祭りとなってしまうことも多々あります。

帳票デジタル化プロジェクトの始動

 近年の著しいIT進化に触れる機会が増え、A社内でも「帳票作業を楽にできないか」「日々のデータをもっと効果的に活用できないか」そんな思いが強くなってきました。そのためには、IT・IoTを活用した仕組みの構築が必要と判断、その取りかかりとして、まず「紙帳票デジタル化プロジェクト」を立ち上げることとなりました。

 プロジェクトの目標は、データ入力作業の削減と現場の状況をリアルタイムに近い形で把握できるようにすることです。社長がプロジェクト責任者を努め、現場と管理の担当者およびIT・IoT活用に詳しい外部の専門家を加えたメンバーで進めることになりました。

 紙帳票を単純にITで置き換えるのではなく、記録項目の削減、帳票の統合および業務プロセスの見直しにより、帳票と業務をスリム化することを重点に取り組む方針です。次回はこの「帳票の整理と業務プロセスの見直しの取り組み」についてお伝えする予定です。

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