第7回:帳票の整理と業務プロセス見直しの取り組み

(公財)横浜企業経営支援財団 IoT窓口相談員
後藤 昌治

2019/6/26

 A社の帳票デジタル化プロジェクトが始動して、まずメンバー全員でプロジェクトの目的と目標について話し合いを行いました。現場の作業や管理で、日頃困っていることや負担だと感じていることは何か、それに対してどう出来たら嬉しいのか、楽になるのかなど、メンバー全員で問題や意見を出し合う形で話し合いが進みました。

 様々な話題がありましたが、最も多かったのは「帳票に記録したデータをもっと有効に活用したい」という意見でした。データを活用するには、手書き情報のデータ化が必要です。しかしながら、日々のパソコン入力が大変なため、最小限の情報に留まっていたのが現実でした。

 また、手書き故の記入ミスや漏れ、文字の読み取り困難などの問題があり、その記録の修正や再調査といった後戻り作業にムダを感じているメンバーもいました。

帳票の棚卸し

 本格活動の手始めとして、現場で使用している帳票の棚卸しを行いました。棚卸しとは、帳票の種類と目的、各帳票の項目数と記入方法、その項目はどんなタイミングで、誰がどのように利用するか、などをリストにまとめることです。その結果わかったのは、日頃考えていたより多くの種類の帳票と記入項目が存在することでした。

 メンバーからは「正直言って、こんなにあるとは思わなかった」という声もありました。「とりあえず記録しておこう」という、軽い考えで帳票や記入項目を追加してきたことが、その主な原因と考えられます。また、同じ項目が帳票間で重複していたり、過去に使っていたが今はもう意味がない項目が残っていたり、改めてムダを実感したようでした。

 このように棚卸しを進める中で、「この作業は本当に必要か」「どういう形で記録しておくべきか」など、紙帳票を単にITで置き換えるだけではなく、そもそも論の議論が出来たことは、プロジェクトとして大きな収穫でした。

帳票と業務のスリム化

 棚卸しの結果、いろいろな問題が見えてきました。そこで次に取り組んだことは、帳票と業務のスリム化です。そのためには、帳票の統合および作業プロセスの見直しや利用価値のない項目の削減など、大胆な改善が必要と考えられました。

 実はこの活動、少々時間がかかりました。今まで慣れ親しんだやり方を変える必要があったからです。しかしそこは、プロジェクト始動時に話し合った目的と目標を軸に、メンバー同士で粘り強く話し合うことで、徐々にスリム化の構想が固まっていきました。妥協せず、このプロセスに時間をかけたことは、この後の展開によい影響を与えたものと思います。

 プロジェクトはこの後、スリム化された業務と帳票をベースに、IT活用検討のフェーズに入ります。次回は、その勘所と現場での検証ポイントについてお伝えする予定です。

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