第9回:IT化始動と収集データの活用

(公財)横浜企業経営支援財団 IoT窓口相談員
後藤 昌治

2019/10/28

 A社の帳票デジタル化プロジェクトは、対象となったすべての現場帳票のデジタル化を終え、リアルタイムでのデータ収集が動き出しました。

 これまで、紙帳票に手書きで記入していた生産数、設備点検や作業記録などが、タブレット入力により瞬時にデータ化されるようになり、帳票に関連する工数が飛躍的に削減されました。

 今後は記録されたデータを活用してさらなる改善を進める段階に入ります。

IT化始動

 ITの本格導入にあたり留意したことが2つあります。ひとつは「タブレット利用の早期定着(早く慣れること)」、もうひとつは「帳票システムのトラブル発生時の対応」です。

 タブレットの扱いには、個人差があります。スマートフォンなどのデジタル機器を日常使っている人は問題ないのですが、そうでない人は、慣れるまでに多くの時間が必要です。また、世代による習熟スピードにも差がでることも予想されました。

 この課題については、講習会の実施に加え、全員が一定の水準になるまでの間、日々の現場でのフォローアップにより解決しました。また、この取り組みにより、職場内のコミュニケーションがより活発になったことは、思わぬ効果でした。

 トラブル発生時の対応については、代替え手段の準備を基本に検討しました。たとえば「タブレットやサーバーなどのハードウェアの故障に備えて、予備の機器を用意しておく」、また「ソフトウェアやネットワークの間欠的な不具合に対しては、復旧手順をあらかじめ決めておく」などです。さらに、トラブルの長期化に備え「代替え手段として紙の帳票を用意しておく」といったことで対応しました。

収集データの活用

 A社の製品は「材料受入→1次加工→2次加工→表面処理→検査」という工程で製造されています。今回構築した帳票システムを利用することで、これら工程の作業時間や品質記録が詳細にデータ化されます。そして、それらデータをグラフや各種指標などにより可視化することで、改善すべき工程や作業が明らかになりました。

 従来から問題と思われていた工程が目に見える形で把握できたり、あまり問題がないと考えられていた作業に、実はムダがあることが分かったりもしました。さらに、品質データを含めて分析することで、生産性と品質の関係も数値化でき、改めて品質向上の重要性を認識できたことも収穫でした。

 この後は、改善ポイントに優先順位をつけ改善に取り組むことが課題です。次回は「データ活用による改善と効果の確認」について紹介します。

ContactIoT導入活用に関するご相談、
全般的なお問い合わせはこちらから。