第10回:データ活用による改善と効果の確認

(公財)横浜企業経営支援財団 IoT窓口相談員
後藤 昌治

2019/12/26

 A社では、数ヶ月に渡る帳票システムの利用により、問題となっていた工程の作業状況をデータにより把握、それをもとに具体的な目標を設定して改善活動に取り組んだ結果、一定の効果が確認できました。

 また、目に見える形で効果が確認できたことで、メンバーには新たな改善への気づきも生まれ、次の課題も見えてきました。データによる作業の見える化が、メンバーの改善意欲をさらに後押ししたものと思います。

データ活用による改善

 A社の製品は「材料受入→1次加工→2次加工→表面処理→検査」という工程で製造されています。今回はまず、ボトルネックと考えられていた検査工程に焦点をあてることにしました。

 検査工程では、完成した製品の寸法確認と外観のキズ・汚れ等をチェックしています。中でも外観チェックは最も時間がかかる作業で、検査工程の多くの時間を占めていることがわかりました。また、納期遵守のため検査員の残業の要因にもなっていました。

 そこで、プロジェクトメンバーで知恵を出し合い、外観チェックの作業方法の見直しを実施、時間短縮を図るとともに、検査員以外の人が応援できるよう、できる限り作業を標準化しました。その結果、検査工程に占める外観チェックの作業時間が約30%短縮され、また残業の削減にもつなげることができました。

 データによる現場作業の見える化は、工程管理の効率化にも貢献しました。納期変更や追加受注等により生産計画を組み直す際、従来は担当者が工場内をまわって作業状況を確認していましたが、現在は自席にてリアルタイムに近い形で作業状況が把握できることで、お客様の要望に素早く対応できるようになりました。この点も大きな改善でした。

改善効果と今後の課題

 帳票システムを導入したことで、従来の紙帳票だけでは難しかった、作業状況の正確な把握が容易になり、改善ポイントの優先順位づけとタイムリーな工程管理が実現できたことが、これまでの目に見える効果です。

 また、現場メンバーにとって、改善目標の設定と実績をデータ(数字)で確認できることが、思っていた以上にモチベーションを高めていることも、見逃せない効果だと言えるでしょう。すなわち、一過性の改善活動でなく継続的な活動を維持する仕組みとしての役割も担っているとも言えます。

 今後はデータ収集と業務の自動化および収集されたデータのさらなる活用による生産性向上に取り組んでいきます。次回は「業務自動化への挑戦」と題し、これらの取り組みの一端を紹介します。

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