経営戦略実現のためのITシステム導入の成功に向けて

第3回:ITシステムの企画・見積・調達

(公財)横浜企業経営支援財団 IoT窓口相談員
矢野 英治

2019/09/27

 ITシステムの企画とは、IT戦略を達成させるために必要なITシステムの導入目的と導入効果を明確にし、具体的にどのようなシステムをどのように導入するかの計画を策定することです。加えて、導入後の運用におけるモニタリングや改善の計画も合わせて策定されることが望ましいです。

 企業の戦略として店舗のみの販売からインターネットを利用した販売を始めることで、売り上げの拡大を目指す場合を想定してみます。同じインターネット販売でも、楽天やZOZOのようなインターネット上のモールに出店することもできますし、自社独自のインターネット上の店舗を構築することも可能です。

 出店までの費用や期間、出店後のロイヤリティ、マーケティング費用、それぞれのケースにおける売り上げや利益率などを複合的に検討し、企画の素案を考えていきます。

 その際、経営戦略やIT戦略で検討した目的や成果目標をきちんと意識したうえで、ITシステムの企画を行っていくことが重要です。そのためにも、ITに携わる担当者だけではなく、実際の業務を担当している人たちと一緒になって企画していく必要があります。

 初めのこの段階においては、具体的な意思決定を行うというよりも、のちの意思決定を適切に迅速に行うための情報収集の段階であると言えます。必要以上にもれなく情報を集めようとするよりも、次の段階になるパッケージや業者の選択の意思決定に必要な情報かと問うことが成果目標を達成するために必要な情報を効率よく収集するコツになります。

 モールなどに出店するのではなく、ITシステムの導入を決定した場合の具体的な情報収集としては、導入するITシステムをどのように調達するのかがメインになります。

 既存のパッケージ製品をそのまま利用できるケースもあれば、パッケージ製品をカスタマイズして利用するケースもありますし、独自のシステムを開発するケースもあります。最近では、SaaSと呼ばれるクラウド型のサービスを契約することでITシステムを短期間で導入し安価に利用することも可能です。

 昨今は、企業別にITシステムを開発せずに、安価なパッケージやクラウドサービスを利用するケースが増えてきており、独自開発と比較した場合の価格が2桁異なるケースも見受けられます。一方で、独自のシステムを利用する方が結果的に高い効果を生み出すこともあり、どのようにITシステムを調達するのかを選ぶのかが大変難しくなっています。

 資金力に乏しい傾向にある中小企業においては、安価な製品やサービスを中心に検討を行うことが多くなると思いますが、その際には、製品やサービスが急にサポートされなくなったり、製品やサービスの提供が急に終了してしまったりすることがないように、提供する企業の信頼性についてもきちんと考慮する必要があります。セキュリティの面でも安心できる製品やサービスであることも重要です。

 たくさんある製品やサービスの中から2つもしくは3つまで絞り込んだ後には、提供元の企業から具体的な説明や提案を受けることになります。具体的な価格についてもこの段階で提示されますので、複数の提案を吟味し適切な製品やサービスを選択することになります。

 日々新しい製品やサービスがリリースされるITの世界において、ベストな製品やサービスを選択することは非常に難しく、そのための時間もコストもかかります。当初の企業の戦略に立ち戻り、戦略を実現するためのベターな選択を心がけることで、経営戦略に貢献するITシステムのタイムリーな導入が可能になると考えています。

 ITシステムの企画を社内で行うことは難しいと考える企業がほとんどだと思います。常日頃からお付き合いのあるITベンダさんの手助けを得るケースが多いと思いますが、それ以外にも、横浜企業経営支援財団や横浜商工会議所などの中小企業を支援する団体では、IT利活用のアドバイスを行う専門家がいて、無料で相談に乗ってくれますので、これらの制度を活用することも検討してみてください。

次回は、「ITシステム導入のためのプロジェクトマネジメント」についてお話していきたいと思います。

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