経営戦略実現のためのITシステム導入の成功に向けて

第4回:ITシステム導入のためのプロジェクトマネジメント

(公財)横浜企業経営支援財団 IoT窓口相談員
矢野 英治

2019/11/25

 ITシステム開発のプロジェクトマネジメントとは、品質、コスト、納期のバランスを取りながら、計画に従ってITシステムの開発を完了させることです。

 プロジェクトマネジメントの指針書であるPMBOK(Project Management Body of Knowledge)では、プロジェクトは、立ち上げ、実行、監視・管理、終結の5つのプロセスに分けられています。

 従来のシステム開発においては、この5つのプロセスに加え、ITシステムの開発を、ソフトウェア工学に基づき「要求定義」「外部設計」「内部設計」「開発」「テスト」「運用」といった別の軸のプロセスと組み合わせてプロジェクトマネジメントを行っていました。

 原則、前の工程が完了しないと次工程に進めないため、前工程への手戻りを減らすとともに、工程の進捗管理がしやすいという特徴があります。

 コスト削減のためのITシステムでは、人が行っていた業務をIT化するケースが多く、開発期間・利用期間ともに長期にわたることが多くありました。

 昨今はより積極的な攻めのIT投資が行われるようになり、市場や顧客嗜好の変化に素早く対応することで、売り上げや利益を上げるためのシステム開発が重要視されるようになってきました。

 このような状況下では、従来のシステム開発の手法では、開発中の市場や顧客の嗜好が変化に迅速に対応することが出来ず、そこで生まれたのが、アジャイル型のシステム開発です。

 アジャイル型のシステム開発では、「要求定義」から「テスト」までの一連のプロセスを一度に行うのではなく、小さな単位に分割して短期間で繰り返し少しずつ開発していく方法です。

 都度外部の状況を分析しながら次の開発に進むため、必要な機能をタイムリーに利用できることにつながります。

 一方で、中長期での大上段のITシステム導入の目的を途中で見失ってしまうことになったり、小さなスケジュールの遅れがさらに拡大していったりなどといったリスクなども存在しています。

 ウォーターフォール型とアジャイル型のどちらが優れているということではなく、開発するITシステムの特徴を十分理解した上で、どちらの開発手法を利用するのかを決定する必要があります。

 さらに、昨今は上記の2つの主要な開発プロセスに加えて、AIの普及により、データを中心としたシステム開発の手法が広がりつつあります。

 少ないデータでシミュレーションを行いながら、継続的にデータの量を増やし、実用可能なシステムの育てていくようなITシステムの開発プロセスになるため、IT技術者よりも業務担当者が作成・収集するデータが重要になってきます。

 どのような開発プロセスを採用する場合にも、品質・コスト・納期のバランスと5つのプロセスをしっかりとマネジメントすることは重要です。

 また、導入企業のシステム担当者、業務担当者、開発企業の担当者の3者が協力してプロジェクトマネジメントにかかわっていくことが非常に重要です。

次回は、「ITシステムの継続的活用(モニタリングと改善)」についてお話していきたいと思います。

ContactIoT導入活用に関するご相談、
全般的なお問い合わせはこちらから。